全遊動03 確かに食い込みはいい

全遊動

 

全遊動のメリットその二は、ウキの抵抗がかからないから食い込みがいいという点です。
魚がサシエを食べようとしたとき、マキエと違うのはガン玉やウキの抵抗がかかることです。活性がそれほど高くなければ、その時点で違和感を覚えてエサを放す可能性は高いでしょう。特に、ウキの抵抗は大きく、それがゼロになれば魚はスムーズに食い込んでくれる確率は大きくなります。

上方向に限ると、固定、半遊動、移動ウキ仕掛けではウキが固定されています。そのため、魚がサシエをくわえて引っ張るとウキが沈みます。これがアタリとなって釣り人に信号を送り、合わせにつながるのですから、大事な機能であるのは間違いありません。
とはいえ、魚が食い渋るとそのウキの抵抗が大きな障害となるのも事実です。
その点、ウキ止めのない全遊動はウキの抵抗がかかりません(初期の段階では、です)。活性の低い魚でも食い込む確率が高くなるのです。
近年、全遊動のメリットはこの点に注目されていて、ウキ止めを使わずにタナを固定する方法についてあれこれ取りざたされている昨今です。それだけ、現代はグレの食い渋りが大きな課題となっているのでしょう。

小型棒ウキを使用するときはほとんど浅ダナを釣るため固定にします。つまりはグレの活性が非常に高いときなのですが、それでも一気に食い込むまでにはなかなか至らないのです。

 

ウキの抵抗はメリットでもあります

ここでウキの役割をおさらいしてみましょう。ビギナーは、アタリを取るものと思っていますが、それ以外にもいろいろあります。
①仕掛けを飛ばす
②サシエのタナを固定する
③潮に乗せて仕掛けを流し、広く探る        ④波によって上下する動きをサシエに伝えて踊                    らせる
⑤魚が食べようとしたとき、抵抗をかけてサシエに逃げようとする動きを与える

ここで注目したいのは⑤です。小型棒ウキで浅ダナに浮いたグレを釣ったことのある人なら経験しているかもしれません。改めていうまでもなく小型棒ウキは抵抗が非常に小さく、感度がよいウキとして知られています。数あるウキの中で最も抵抗は小さいといっていいでしょう。ところが、グレがエサをくわえて走り、ウキがツーと走った時点で合わせてもハリ掛かりしないことがたびたびあります。グレはエサをくわえたら他の魚に掠め取られない位置に移動するから、ハリまで食い込んではいないといわれています。
こんなとき、仕掛けを手前に引いてくるとハリ掛かりすると教えてくれたのは松田稔さんでした。グレは動くエサに誘われ、逃げようとするエサをさらに食い込もうとするというのがその理由です。
この場合は仕掛けを引っ張ることで抵抗をかけましたが、ウキの抵抗もしばしば役に立ちます。もちろん、活性の程度にも大きく左右され、ウキの抵抗が逆に作用するケースも往々にしてあります。

ホバリングしてエサを食べる代表格がフグです。他にカワハギやキタマクラなどもいますが、フグは圧倒的に数が多く、冬でも活発にエサを追います。だからといって、ハリに掛かったフグを磯の上、堤防の上に放置するのはやめてください。腹を立てても優しくリリースしてください。

 

小さいアタリが分からない

ウキ止めとシモリ玉がないと仕掛けはどこまでも沈んでいきます(もちろん、限界はありますが)。それがタナを探るということなのですが、ウキ止め・シモリ玉がなくても魚が本格的に食い込めばウキは沈みます。しかし、エサをつついた程度ではウキは沈みません。小さな魚やホバリングする魚のアタリはまず出ません。同様の理由で、本命魚であっても前アタリは分かりません。アタリが出たときはほとんど食い込んでいますから、その意味では釣りやすいといえるでしょう。
しかし、その釣りやすさは繊細さとは縁がありません。大雑把なのです。仕掛けを流していて、ウキが沈んだときはもう食っています。細かいやり取りは必要ありません。
だからといって、全遊動が大雑把な釣りだというつもりはありません。なにしろ、糸送りはとてつもなく繊細だからです。道糸とガン玉、流れと風、などなど、全遊動で仕掛けを沈めるにはさまざまな要素を考慮しなければなりません。
それを考えると、アタリ→合わせぐらいは楽な部分であってもいいじゃないかとボクは思ってしまうのです。

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