全遊動のメリットの三番目は、マキエとの同調が比較的たやすいというものです。ゆっくりゆっくり沈むように仕掛けを調整すれば、マキエと同調する可能性が高く、その間はグレがヒットする確率が高いといえます。
マキエとの同調は必須条件
現代のグレ釣りはサシエの先行とマキエとの同調が必須といわれています。活性が高ければ少々の狂いは許されますが、シビアな条件ではなかなかヒットにつながりません。
サシエの先行は別の稿に譲るとして、ここでは同調に注目してみましょう。
仕掛けは固定でも半遊動でも全遊動でも構わないので、サシエがマキエと同じ速度で沈むようにガン玉で調整してみましょう。そして、仕掛けとマキエを同じところに投入します。どちらも沈みつつ流れてゆきます。やがて固定ウキ仕掛けは沈むのを停止して水平移動に移ります。続いて半遊動も停止します。その先はマキエがまだ沈んでゆくのに対して、サシエは沈みませんから両者はどんどん離れていくのです。
しかし、全遊動はまだまだ沈みます。つまり、固定、半遊動よりも全遊動は同調時間が長いというわけです。
といっても、永遠に同調することはありません。なにしろ、サシエはハリスやガン玉、道糸を引き連れています。マキエのオキアミとは条件が違います。やがては離れてしまうことを知っておいてください。
同調しなくてもヒットする全遊動
一方で、同調を意識しなくても全遊動でグレがヒットする可能性もあります。
こんなケースを想像してみてください。
仲間が先行して磯に上がっていて、自分はあとから上礁したとします。ほかに適当な足場がなくて、彼らの間で竿を出すことになりました。左右10mほど隔てて仲間がいてそれぞれ好き勝手にマキエを入れていますから、海の中は広い範囲でオキアミや集魚材が拡散していると思われます。
そんなとき、自分ではマキエを入れず、全遊動で仕掛けを放り込むと、しばしばそれにグレがヒットすることがあります。他人のマキエで釣りやがってとお叱りを受ける恐れもありますが、仲間うちということでその辺りはお許しを。
ところで、みんなシビアに同調させようとしているのに、マキエも入れずにヒットするなんて、これはどういうことなのでしょう? 実はこれが全遊動の隠されたメリットで、ボクは全遊動アクシデントと呼んでいます。事実、これをやって何度もグレを仕留めているからです。仕掛けの投入ポイントはとにかく適当です。潮の方向や速さはまったく無視。左右にいる仲間のマキエも無頓着。活性はそこそこ高くないと難しいでしょうが、機会があればぜひ一度試してみてください。
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