もちろん、理由はいろいろあります。 一つは、底釣りに少し飽きてきたこと。いつもワンパターンの釣り方では新鮮味がなく、ワクワク感が薄れます。
二つ目は、ほかの魚がヒットする確率が高くなること。場所によっては良型のアジが釣れたり、シマアジも当たったことがありました。
そして、三番目が落ち込みの演出です。皆さんも経験があるでしょう。チヌは落ちてくるエサに目がないのです。仕掛けを投入してそれがなじむ前に食ってくることが珍しくありません。活性の高いチヌの目に留まる必要がありますが、マキエの効果が出ているとすればそこにチヌがいる確率は高いはずです。
とまあ、理由を挙げて自分を納得させているのですが、これがまたなかなか釣れないのです。いや、まったくのボーズ続きというわけではないのですが、会心のヒットとはいえません。あれ、食ってたー!とか、あれがアタリかよーとか、とにかくアタリがはっきりしないのです。
皆さん、よくご存じのように全遊動にはウキ止めがありません。ですから食い込んだときの抵抗がゼロに近く、食い込みは非常にいいはずなのですが……いまだ期待通りの効果は上がっていません。
ボクが全遊動と出会ったのは、たぶん1900年代だったと思います。当時、釣研の社長さんだった田中釣心さんに教わり、全遊動専用といわれたななめウキを買ってすぐ試してみました。
そのころの全遊動はグレ釣りに用いるものと相場は決まっていて、磯のグレ釣りばかりやっていたボクは半遊動と並行して全遊動を試したものでしたが、まだまだグレはスレてなく、オキアミを撒いたところがポイントというパターンで簡単に釣れたものでした。おかげで、全遊動だからよく釣れたという記憶はほとんど残っていません。 ただ、食い渋ったとき、同礁した仲間が小さい小さいウキを使っている中で、こちらはでっかいウキを使っていてそれがスコーンと沈むのを見て気分をよくしていました。食い込んだときの抵抗がないことはそのころから実感していたのです。
コメント