師匠が亡くなりました。

師匠の記事が掲載された書籍やビデオが葬儀場に展示されていました。

現在のビギナーはネットや書籍を利用して自分で釣りを学ぶか、それとも経験者にアドバイス、指導してもらいます。幸いにして、ボクはオヤジが釣り好きで、基本を教えてもらうことができました。オヤジと同行しなくなってからは自分で経験を積んでいたのですが、その間の進歩はほとんどなかったといっていいでしょう。その後、再び、知識や技術を身につけることができたのは師匠のおかげといっていいでしょう。その師匠が亡くなりました。

アドバイザーはいますか?

当時はネットなどなく、独学で釣りを学ぼうとすれば書籍や雑誌に頼らざるを得ない状況でした。とはいえ、書籍は関東の釣り人が執筆・監修したもので、およそ九州の釣りとはかけ離れたもので、実践上の参考にはならないものばかりでした。そういう背景を考えると、師匠の存在は非常に大きなものだったことがうなずけると思います。

ボクが大好きな波止釣りに行くと、時期や場所によってはたくさんの釣り人がいます。そんな人たちを観察するのはとても楽しいものです。ビギナーと思しき釣り人は(大半はサビキ釣りをしていますが)、時期や場所、仕掛けなどでずいぶん頓珍漢なことをやっています。最低限、釣具店でいろいろ尋ねたものかもしれませんが、お客が多いと丁寧に対応するわけにはいかないでしょう。多少の自信があれば聞くこともせずに、例えば昨年夏に楽しんだ釣りを春にやったりするものです。

ボクのホームグラウンドの一つに博多湾の西公園裏があります。4月末から11月まで近場でチヌ釣りを楽しめるのですが、12月になればどうなるのか確かめたくて竿を出してみました。結果は、生のオキアミがほとんどかじられなくて、ハリに掛かったのは10㎝オーバーのグチ(イシモチ)1匹だけでした。そんな状況にもかかわらず、サビキ釣りをしている人が数人いました。ジグをキャストしているルアーマンもいました。彼らが相談したら、ボクは絶対にここで釣りをするなとアドバイスしていたと思います。

ボク自身も感じていることなのですが、釣りに関するネット情報は非常に不十分です。事細かな情報を求めるのは無理な相談ですが、釣り情報というのはほとんどが「釣れた」というものです。発信者は釣具店、渡船業者ですから視聴者がそれを見て動いてくれることを目的としています。当然、釣れなかった・釣れていないという情報は皆無です。

釣りに絶対はありません。12月の西公園裏で絶対に釣れないとは断言できないでしょう。けれど、確率としては非常に低いはずです。状況が分かっているアドバイザーなら、釣れる確率がもっと高いところを推薦するでしょう。要は、そんなアドバイザーが身近にいるかどうか、なのです。

ここでは分かりやすく時期と釣り場の選択を例にとりましたが、仕掛けやエサ、釣りの組み立てなどすべてのことが当てはまります。経験を積んで知識や技術を身につけた名手たちのアドバイスは大変貴重です。もちろん、100%的確とは限りません。しかし、自分一人で考えるよりははるかに魚と出会う確率は高くなります。

そんな名手である師匠が亡くなりました。

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