皆さんはチヌの三段引きってご存じですか? その昔、チヌのアタリは三段構えというのが通説でした(といってもボクは北九州に住んでいたので、そのエリアだけの常識だった可能性もありますが)。
三段引きの内訳はこうです。まず、チヌがエサをつつく。これが最初のアタリで、ウキはチョンチョンとだけ動く。次に、チヌがエサをくわえる。すると、ウキは少し沈む。最後にエサを口の中に入れて走り出す。ウキは海中深く消えていく。これが三段引きのメカニズムで、チヌの行動まで説明されており、当時のチヌ釣り師は例外なく信じていたものです。
今のチヌは一気に食い込んでくる?
しかるに、今のチヌはどうでしょう?
現在、ボクは波止でしか釣りをしていないので最近の磯の状況は分からないのですが、例外なく一気に食い込んで来るパターンばかりです。ウキがスッと沈むのはもちろん、一瞬目を離した隙にウキが消えてなくなったり、竿先まで絞り込まれたりとそんなアタリばかりで、三段引きてなんなの? という状態です。 皆さんはどうですか?
チヌの習性が変わってきた?
昔々、寒チヌ釣りというのは大変難しいものでした。ボクの経験からいうなら水温14度で、一日粘ってアタリは一回のみ。それもズルッと引き込まれただけで、それ以上沈むことはありませんでした。サシエのオキアミは一向になくならず、一日に5匹もあれば充分事足りというのが普通だったのです。
でも、今はどうでしょう? 冬はチヌが非常に釣りやすい時期といっていいでしょう。平均して水深のない湾内、港内は別として、外洋に面したエリアだとチヌは活発にエサを追います。エサ盗りはほとんどいなくて、アタリがあればほとんどチヌなのですから実に釣りやすいのです。いうまでもなく、地球温暖化のため真冬でも水温が下がらなくなったためです。 これと同じように、チヌの就餌行動も変化してきたと見ていいのではないでしょうか。
グズグズしていたら食べられない?
チヌは性格が強い魚で、他の魚を追い散らしてエサを食べるといわれています。確かに、水槽で飼って観察しているとそのような生態がよく見られます。自分より体の大きい魚でも平気で追い散らし、大きい魚は追い散らされるままなのです。
ただ、追い散らす距離はそれほど遠くはありません。
ボクのダゴチン釣りの師匠であるМさんいわく、
「倒した獲物を食べるときのライオンとハイエナぐらいの距離と思っていいよ」
動画を観た記憶のある人は思い出してほしいのですが、ハイエナはライオンのすぐ後ろで隙をうかがっています。で、ライオンが少しでも目を離すとすぐに獲物を食べようとするのです。それでは、ライオンはゆっくり食べるわけにはいきません。
これをチヌとほかの魚に置き換えてみると、現在のアタリの状況が納得できるのです。かつての三段引きのような食べ方をしているとほかの魚に掠め盗られかねない。だから一気に食い込んでくる。そんな気がしている今日この頃です。
と、ここまで書いたところで思い当たりました。ダゴチン釣りではそんなことはなく、相変わらずじっくりと食い込んできます。さて?
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