ウキ下50㎝のチヌ釣り?

チヌは底を釣るというのが原則です。コマセを効かせれば浮いてくることもありますが、波止ではまれだと思っていいでしょう。では、その底が2~3mの水深の下にあればどうなるでしょうか? ウキ下を2~3m取ればサシエは底近くを流れることになります。それでチヌがヒットする確率は? はっきりいって、そんな浅場でチヌ釣りをする人はまずいません。海底が見えるようなところではチヌが釣れる気がしない……ほとんど人はそう考えています。

浅くてもスズキやチヌはヒットする

毎年、ゴールデンウイークに西公園裏で50㎝クラスを釣り上げているのに、時間がなくてとうとう春チヌは釣らずじまいというのが今年の現状です。その後も時間の余裕がなくて、8月に入ってもいまだにチヌ釣りには出かけていません(一つにはモチベーションが上がらなかったせいもあるかも)。

ふっと思いついて、いつもは梅雨のさなかに訪れている泉川の河口・弁天橋を訪れる気になりました。今年は異常に梅雨が短く、スズキ=梅雨と信じているボクは泉川のセイゴ釣りに行けずじまいだったのです。

この泉川河口という釣り場はチヌの実績も低くはありません。特に夏~秋という季節は、チヌは豊富なエサが流れてくる河口に集まる傾向があります。河口どころか、はるか上流にも遡ることがあり、それが川チヌと呼ばれるカテゴリーなのです。

ただし、問題があります。この場所は平均して水深がないのです。満潮時に澪筋を流せば2mの箇所もあるにはあるのですが、その条件を外せば0.5~1mがメインになります。そして、そんなところでも1mクラスのスズキや50㎝のチヌがヒットするのです。

夜の満ち込みがチャンス

浅場の釣りでは夜釣り&満ち込みというのが鉄則です。どんなに警戒心の強い魚でも周囲が暗いと、つまり自分が見えないと、安心して浅場にやってきます。そして、干潟に潜むエビやカニ、虫類を漁るのです。満ち込みというのは、少しでも深くなるからです。

というわけで、8月2日、下り中潮の4日目にここを訪れました。干潮は18時30分、満潮は午前1時です。本当は21~22時の満潮を釣りたかったのですが、そうそう自分の都合よくはものごとが運んでくれません。

釣りスタートは19時。満ち込みの潮は海から川を上っています。ここは橋の下を探るのがパターンですから、海の方向に竿を出します。青イソメの1匹掛けで投入します。ウキ下は50㎝。早々にアタリが出ます。ツンツンとウキを引き込みますが、それ以上の変化はありません。仕掛けを巻き取ると見事にエサはなくなっています。まだ完全に暗くなってはいないため、小魚がつついているようです。コマセしなくてもいろいろな魚が居着いているのが河口の干潟の特徴です。そのうち、ウキがスーッと横走りしました。巻き取ると小さなヒイラギがぶら下がっていました。エサ盗りの正体はこいつのようです。

ヒットした魚が横走り!

完全に暗くなったところで電気ウキを点灯します。流れは、まだゆっくりと上流へ向かっています。この流れが速くなるとアタリは期待できなくなります。今のうちなんだけどなあ。少し焦りながら橋の上を移動します。アタリが出る場所を求めてあちこち探るのです。

潮に乗せて仕掛けを送ると、やがてウキは橋の下に隠れて見えなくなります。道糸を少しずつ送り込みます。それを繰り返すうちに、いきなり竿先を引ったくられました。このときのボクは完全に余裕を失っていました。なにしろ久しぶりのアタリだったもので。竿先にアタリが出たときはワン~ツーテンポ遅らせて合わせるというのが原則なのに、即合わせしてしまったのです。

ハリに掛かった魚は左に走りました。水深がないと下に突っ込むことはできないから、魚は横に走るしかないのです。したがって、魚がなにかは分かりません。ただ、小さくはないことが分かります。1.5号の磯竿では走りが止まりません。そして、突然、竿先が跳ね上がりました。クソーッ! 合わせが早かった! すぐにハリ外れだと分かりました。案の定、ハリもハリスもなんの異常がありませんでした。スズキだったのか、それともチヌだったのかは分からずじまいです。

セイゴが居食いしてた

同じ地点で粘ってみましたが、まったくアタリがないため足場を移動します。流れの速いところと遅いところがあるから、極力遅い場所を探してそこを重点的に探るのです。

しかし、全体として流れはどんどん速くなっていきます。潮は速くなったとしても待っていればまた遅くなるので焦る必要はありません。

それほど待つ必要はなく、二回目のアタリが出ました。橋の下に仕掛けを送り込むのですが、道糸を出す前に軽く誘ったとき、重たく感じました。ン? そう思った瞬間、魚が乗ってきました。今度は余裕がありました。竿先を送って充分食い込ませ、それから合わせます。今度も横に走ります。ただ、初回ほどの重みはありません。竿を立てると少しずつ魚は浮いてきました。そして、水面で激しく抵抗します。これはチヌではありません。40㎝クラスのセイゴでした。橋の上に抜き上げて撮影し、リリースします。

今年はまだチヌにお目にかかっていません。今の時期ならイカダでダゴチン釣りした方が確実かなあ。少し弱気になっているボクでした。

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