ハリスはなぜ1.2~1.5号なのだろう?

ネットの世界も含めてチヌ釣りの入門書を見ると、ハリスの太さはほとんどが1.2~1.5号を推奨しています。かくいうボクも1.25号を使うことが圧倒的に多く、この太さが妥当であることは間違いないと思っていいでしょう。では、どうしてこの太さなのかを考えたことはありませんか?

基本的にチヌの遊泳力は強くはなく、やり取りの途中で切られるケースはめったにありません。特に、波止という条件を考えると障害物は少なく、ビッグサイズがヒットする可能性も低いと考えていいでしょう。また、近年はハリスや道糸の強度は格段にアップしています。とはいえ、さすがに0.4号、0.6号では心配です。自信が持てません。それなら、0.8号ではどうでしょう? 

ボクの先輩で、常に0.8号を使う人がいます。理由は、チヌの食いがよくなるからではありません。根掛かりしたとき高切れを防ぐためです。

これはウキ下の設定と大きく関わっています。チヌ釣りではサシエが底スレスレを流れるようにするというのが定説ですが、海の中は見えません(当たり前か)。どのくらいのウキ下を設定すれば底スレスレになるのか、誰も教えてくれません。海底が完璧なフラットであることもあり得ないでしょう。遠矢ウキで広く知られている遠矢国利さんは、釣りを始める前に水深を細かくチェックすることで有名です。その遠矢さんが、あるとき、1時間もかけて目の前の海の水深を測ったそうです。凹凸が激しかったのかもしれませんが、1時間というのはすごいと思うし、そこまでできる遠矢さんはさすがだと感心します。

それはともかく、世の中の大半のチヌハンターは仕掛けを流しながらウキ下を調整しています。設定したポイントを流し、スムーズに流れたらウキ下を深くして、根掛かりしたら浅くします。ガン玉の位置をずらしたり、仕掛けの流し方を工夫したりすれば根掛かりを避けられるケースもあるのですが、ここでは触れないでおきましょう。

先輩の話に戻ります。ウキ下をどんどん深くしていくと当然根掛かりして、仕掛けを回収すべく引き切ります。そのとき、道糸1.5号、ハリス1.2~1.5号だとどうなるでしょう? 強引に引っ張れば高切れする可能性があるのです。ウキはロストするし、もう一度仕掛けをセットしなければならず、ダメージは少なくありません。ハリス0.8号なら高切れせず、ハリス部分で切れる確率が高いのです。

ハリス2~3号ではチヌは釣れない?

今度は太いハリスではどうなるのかを考察してみましょう。チヌ釣りに関しては昔から、ハリスが太いと警戒する、ハリは小さい方が食いはいいなどといわれています。警戒心が強いから万全の態勢で臨むべきだというのです。

しかし、本当にそうでしょうか? 釣りの世界ではしばしば定説が一人歩きするケースが見られます。誰かが言い出すと、それが真実かどうかを自分で確かめずに相乗りしてしまうのです。その誰かがオーソリティであれば疑いもせずに信じてしまいます。チヌの細ハリスについてもその傾向が強いとボクは思っています。

ボクのダゴチン釣りの師匠であるМさんは、小バリ&細ハリスがチヌの食いを決定づけるものではないことを証明するため、常にチヌバリ5号、ハリス3号を使い続けています。それでいていつもいつも驚異的な釣果を上げています。同行者がやっと2匹、3匹釣っている状況で、Мさんだけがいつも2ケタ釣っているのです。

ボクのチヌ釣りの師匠の一人である高園満さんは、かつてはイシダイ釣り師だったのですが、イシダイ用のワイヤー仕掛けにチヌがヒットした経験を何度もしていますし、小バリ&細ハリスがチヌの食いに影響を与えているとはまったく考えていません。では、なぜ太い仕掛けを使わないのでしょう?

「チヌに逃げるチャンスを与えてあげましょうよ。絶対に取り込める太仕掛けで釣り上げても楽しくないじゃないですか」

これが高園さんの答えでした。チヌの引きは強くなく、ハリスを切られることはめったにありません。対馬や五島、甑島にはナナマルクラスがいるらしく(確認されていませんが)、さすがにそこではバラすこともあるそうですが、都会の近郊ではまず考えられません。太仕掛けでも食うとしても、では2号竿、道糸5号、ハリス3号でチヌを食わせて楽しいでしょうか? 99.9%取り込める、つまり釣り人が絶対に勝てるバトルで楽しめるかという話なのです。極力チヌが勝てる確率を残しておくべきだというのが高園さんの主義といっていいでしょう。

皆さんはどう思いますか?

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